凡人読書家の書斎(読書&ときどき投資)

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レッド・オクトーバーを追え(上・下)トム・クランシー 文春文庫(1985)

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軍事小説の大家トムクランシーの処女作にして最高傑作

ミリタリーオタクにとってはたまらない一冊であろう。舞台は東西冷戦末期のアメリカとソ連ソ連の最新鋭潜水艦「レッド・オクトーバー」が政治亡命を企てる艦長の手に乗っ取られた。レッド・オクトーバー(架空)は無音潜航装置を備えており、容易には探知できない。その潜水艦が政治亡命に使われることが判明した。ソ連側の政治・軍部は大慌て。大西洋に展開できる全艦船を出港させ捜索に当たる。一方、レッド・オクトーバーの企てを察知したアメリカ側は、それを援護すべくあらゆる軍事作戦を展開させる。冷戦当時のアメリカ・ソ連の軍事と政治的駆け引きが克明に描写されている。

 

出版当時、アメリカの政治家らが「なんで軍事機密か漏れているんだ!」という発言を残したという逸話もある。それほどまでに本書の描写は的確であったのだろう。

 

軍事情報に詳しくない読者にとっては難解な用語も出てくる。それでも物語に引き込まれてしまう人物描写がおもしろく、どんどん読み進めることができるだろう。

 

海洋冒険軍事小説という画期的なジャンルを確立した本書には、一読の価値がある。