凡人読書家の書斎(読書&ときどき投資)

日々の読書記録を綴っています。投資もやってます。

小説

邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき 伊藤祐靖 新潮社 2020

自衛隊が”もしも”本気になったらどうなる 著者の伊藤祐靖氏は日本体育大学卒業後、海上自衛隊に入隊。イージス護衛艦「みょうこう」航海長在任中、1999年の「能登半島沖不審船事案」に遭遇している。 その後、全自衛隊初の特殊部隊「海上自衛隊特別警備隊」…

クライマーズハイ 横山秀夫 文春文庫 2006

実際の航空機事故を題材とした圧巻の物語 日航123便墜落事故から今年で36年が経過した。乗員・乗客520名が犠牲になるという単独機として世界最大の事故であった。 筆者の横山秀夫氏は当時、新聞記者としてこの事故の取材にあたっている。それだけにこの作品…

鉄の骨 池井戸潤 講談社文庫 2011

突如「談合課」に飛ばされた主人公の悪戦苦闘 主人公「富島平太」は中堅ゼネコンに就職し、現場監督としての仕事にやりがいを感じていた。現場の職人との折衝に戸惑いつつも「立派な建物を建てる」というゼネコンマン魂にあふれていた。 ところが突如、まっ…

Exit イグジット 相場英雄 日経BP 2021

異次元金融緩和に出口(Exit)はあるのか アベノミクスの三本の矢の一つである「異次元金融緩和」をテーマとした経済小説。 主人公は出版社の経済担当記者である。出版社の営業マンから、いきなり記者に異動を命じられるところから物語は始まる。経済記者と…

排出権商人 黒木亮 (角川文庫) 2011

知られざる排出権ビジネスの実態 本書は大手エンジニアリング会社の地球環境室で働く女性が主人公だ。日本でいうところの日揮や千代田化工をモチーフにしているのであろう。物語冒頭では海のものとも山のものとも分からない地球環境室であったが、物語が進む…

レッド・オクトーバーを追え(上・下)トム・クランシー 文春文庫(1985)

軍事小説の大家トムクランシーの処女作にして最高傑作 ミリタリーオタクにとってはたまらない一冊であろう。舞台は東西冷戦末期のアメリカとソ連。ソ連の最新鋭潜水艦「レッド・オクトーバー」が政治亡命を企てる艦長の手に乗っ取られた。レッド・オクトーバ…

査察機長 内田幹樹 新潮文庫 (2008)

パイロットという仕事 著者は全日本空輸(ANA)で十数年にわたりパイロットとして勤務した方である。その豊富な経験、知識に基づいて描かれた傑作小説だ。 成田ーニューヨーク間のフライトが舞台となっている。しかし、これはただのフライトではない。査察飛行…

エネルギー(上・下) 黒木亮 角川書店(2013)

全世界を舞台に「エネルギー」を巡って、奔走する者たちの物語 本書は石油、天然ガスといった国家にとって必要不可欠な資源について描かれた物語である。資源ビジネスは、単にモノを買って売るという単純なものでなく、政治・金融先物市場・国際情勢・環境保…

路 吉田修一 (文春文庫 2015)

路 吉田修一 (文春文庫 2015) 日本の新幹線が台湾を走る この物語は日本が世界に誇る新幹線技術を輸出するという一大プロジェクトを主軸に様々な人間模様が描かれている。 私自身は鉄道が好きでこの本を読んでみようと思ったのだが、日本の鉄道技術とヨー…