凡人読書家の書斎(読書&ときどき投資)

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Exit イグジット 相場英雄 日経BP 2021

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異次元金融緩和に出口(Exit)はあるのか

アベノミクスの三本の矢の一つである「異次元金融緩和」をテーマとした経済小説

 

主人公は出版社の経済担当記者である。出版社の営業マンから、いきなり記者に異動を命じられるところから物語は始まる。経済記者として様々な出来事に遭遇しながら、やがて異次元金融緩和の弊害に直面し、物語は展開していく。

 

本書はフィクションであるが、時代背景や経済情勢の設定は事実そのものである。登場人物に財務大臣や日銀審議委員が登場するが、実在の人物をモチーフにしているのだろうとピンとくる描写があって面白い。

 

エンタメ小説として楽しめる要素と中央銀行の独立性や通貨の信認、政府の財政政策という経済についても考えさせられる要素が盛り込まれている。物語を楽しみながら現在の日本経済が抱える闇について考えさせられる一冊だ。